急な病気や怪我に見舞われた際、私たちはパニックになりがちですが、日本の救急医療体制が二次救急と三次救急という明確な区分けを持っていることを知っておくと、冷静な対応が可能になります。まず、私たちが意識すべきは、救急車を呼ぶほどではないが急を要する場合は「一次救急(初期救急)」、つまり休日夜間急患センターや地域の当番医が担当するレベルであるということです。しかし、明らかに重症で救急車を呼んだ場合、搬送先は救急隊によって選定されます。ここで重要になるのが二次救急と三次救急の違いです。多くの救急搬送を受け入れる二次救急病院は、入院治療が必要な「中等症」の患者を主な対象としています。例えば、骨折や脱水症、激しい腹痛などがこれに当たります。救急隊員は、バイタルサインや意識状態を確認し、地域の二次救急病院へ連絡を入れます。一方で、明らかに命に関わる重篤な状態、例えば大出血や広範囲の火傷、意識不明の状態などは、最初から三次救急を担う救命救急センターへ運ばれます。ここでの違いは、受け入れ側の体制の厚みです。三次救急は二十四時間三百六十五日、どのような状態の重篤患者が来ても即座に高度な処置ができるよう特化されています。私たちがよく誤解しがちなのは、「大きな病院だから三次救急の方が安心だ」と考えて、自ら三次救急病院へ行こうとすることです。しかし、三次救急はあくまで生命の危機に瀕した患者を優先するための場所であり、本来二次救急で対応すべき患者が直接行くと、長時間の待ち時間が発生したり、他の緊急性の高い患者の治療を妨げたりすることになりかねません。最近では「シャープ七一一九」といった救急相談窓口が整備されており、看護師などの専門家が現在の症状から、二次救急へ行くべきか、あるいはすぐに救急車を呼んで三次救急を目指すべきかを判断してくれます。二次救急と三次救急の違いを理解することは、自分勝手な病院選びを控え、医療リソースを正しく分配することに寄与します。日本の救急システムは、患者の重症度に合わせて最適な医療を届けるために、緻密に設計されています。私たちがこの仕組みを尊重し、救急隊員や相談窓口のアドバイスに従うことこそが、自分自身の健康を守り、ひいては地域の医療体制を維持するための最善の行動となるのです。
救急車を呼ぶ前に知るべき医療機関の階層的な仕組みと選び方