私の人生は、物心ついた頃から片頭痛との闘いでした。月に数回、予告なくやってくるズキンズキンという脈打つ痛み。ひどい時には視界にギザギザの光が現れる前兆があり、それが始まると「ああ、またあの地獄が来る」と絶望的な気持ちになりました。学校や仕事を休むことは日常茶飯事で、友人との約束もドタキャンしてしまうこともしばしば。周囲からは「また頭痛?」「大げさだ」と思われることもあり、その孤独感と痛みで、何度涙を流したかわかりません。市販の鎮痛薬は気休めにしかならず、薬の飲み過ぎで胃を荒らすという悪循環に陥っていました。内科や整形外科にも行きましたが、レントゲンで異常はなく、結局は「肩こりからくる頭痛でしょう」と湿布や一般的な鎮痛薬を処方されるだけ。私のこの苦しみは、誰にも理解されないのだと、半ば諦めていました。そんな私に転機が訪れたのは、インターネットで「頭痛専門外来」という言葉を見つけた時です。藁にもすがる思いで、少し遠方にある脳神経内科クリニックの予約を取りました。初めての診察で、私はこれまでの苦しみを堰を切ったように話しました。医師は私の話を遮ることなく、じっくりと耳を傾けてくれました。そして、私の症状が典型的な「前兆のある片頭痛」であること、そしてそれは決して気のせいでも怠けでもなく、治療可能な脳の病気なのだと、はっきりと説明してくれたのです。その言葉だけで、長年の心のつかえが取れたような気がしました。そして処方されたのは、「トリプタン製剤」という、私がこれまで飲んできた市販薬とは全く違う片頭痛専用の薬でした。次の発作の前兆が来た時、私は指示通りにその薬を飲みました。すると、いつもならそこから数時間続くはずの激痛が、本格化する前に嘘のようにスッと消えていったのです。あの時の衝撃と感動は、一生忘れることはないでしょう。さらに、発作の頻度を減らすための予防薬も併用し始めると、あれだけ頻繁だった発作の回数が目に見えて減っていきました。専門医に出会い、正しい診断と治療を受けることで、私の人生は変わりました。もう、頭痛に怯える日々はありません。もし同じように苦しんでいる方がいるなら、諦めずに専門医の扉を叩いてほしいと心から願っています。