ある日突然、右肩にズキンと痛みが走る。腕を上げようとすると痛くて上がらない、夜中に痛みで目が覚める。そんな「右肩の痛み」に悩まされた時、多くの人が「これは何が原因だろう」「病院へ行くなら、何科が専門なのだろう」と、不安と疑問に直面します。この問いに対する最も的確な答えは、ほとんどの場合、肩関節とその周辺の骨、筋肉、腱、靭帯といった「運動器」を専門とする「整形外科」が第一選択となります。整形外科医は、肩の痛みの原因を診断するプロフェッショナルです。まず、丁寧な問診で、いつから、どこが、どんな動作で痛むのか、ケガの経験はあるかなどを詳しく聞き取ります。そして、医師が実際に患者さんの肩を動かしたり、抵抗を加えたりしながら、痛みの出る角度や、動かせる範囲(可動域)、筋力などを調べる「身体診察」を行います。この診察だけで、痛みの原因となっている組織を、ある程度特定することが可能です。さらに、診断を確定させるために、「レントゲン(X線)検査」を行い、骨の変形や骨折、石灰の沈着などがないかを確認します。そして、レントゲンには写らない、腱や筋肉といった軟部組織の状態を詳しく調べる必要がある場合には、「超音波(エコー)検査」や、より精密な「MRI検査」が追加されることもあります。これらの検査結果を総合的に判断し、整形外科医は、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)や、腱板断裂、石灰性腱板炎といった、様々な病気の診断を下します。そして、その診断に基づいて、薬物療法(湿布、痛み止め)、注射(ヒアルロン酸、ステロイド)、リハビリテーション、そして手術といった、幅広い治療の選択肢の中から、患者さん一人ひとりに合った最適な治療法を提案してくれるのです。もし、あなたの右肩の痛みが、動かした時に強まる、腕が上がらない、といった症状であれば、迷わず運動器の専門家である「整形外科」の扉を叩いてください。それが、的確な診断と、つらい痛みからの解放への、最も確実な近道です。