大人の発熱と発疹というと、多くの場合は一過性のウイルス感染症や薬疹が原因です。これらは適切な対処をすれば、いずれ回復に向かいます。しかし、もしこのような症状が一度だけでなく、何度も繰り返される、あるいは数週間にわたって改善しないという場合は、少し見方を変える必要があります。その背景に、自己免疫疾患、特に「膠原病(こうげんびょう)」と呼ばれる内科系の病気が隠れている可能性があるからです。膠原病とは、本来なら体を守るはずの免疫システムに異常が生じ、誤って自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気の総称です。この病気群には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚筋炎、血管炎など、様々な種類が含まれます。これらの病気では、免疫の異常な活動によって全身の様々な場所で炎症が起こります。その炎症反応の結果として、原因不明の発熱や、特徴的な皮膚症状(発疹)が現れることが少なくありません。例えば、全身性エリテマトーデスでは、鼻から両頬にかけて蝶が羽を広げたような形の発疹(蝶形紅斑)が出ることが有名ですが、それ以外にも様々なタイプの発疹が見られます。また、皮膚筋炎では、まぶたが腫れぼったく紫色になる発疹(ヘリオトロープ疹)や、手指の関節の外側にできる赤い発疹(ゴットロン徴候)が特徴的です。これらの発疹は、かゆみを伴わないことも多いです。もし、長引く発熱と発疹に加えて、関節の痛みやこわばり、強い倦怠感、筋肉痛、日光に対する過敏さ、口内炎、レイノー現象(手足の指先が白くなる)といった症状が複数当てはまる場合は、膠原病の可能性を疑い、一度「リウマチ・膠原病内科」などの専門科を受診することを強くお勧めします。早期に診断し、適切な治療を開始することが、病気の進行を抑え、長期的な生活の質を維持するために非常に重要となります。
繰り返す発熱と発疹は内科の病気が隠れている?