毎年夏になると流行のピークを迎える手足口病。特効薬やワクチンが存在しないため、感染を防ぐためには日々の予防策と、体の抵抗力を高めておくことが重要になります。手足口病のウイルスに対する直接的な免疫は、一度その型のウイルスに感染することでしか得られませんが、ウイルスに負けない体づくりを意識することで、感染リスクを下げたり、万が一感染しても症状を軽く済ませたりすることが期待できます。いわば、体の基本的な防御力を高めておくということです。まず最も大切なのは、バランスの取れた食事です。特に、免疫細胞の働きをサポートするビタミンCやビタミンA、亜鉛などを意識的に摂取することが推奨されます。緑黄色野菜や果物、肉、魚、大豆製品などを好き嫌いなく食べることが、丈夫な体を作る基本となります。次に重要なのが、質の高い睡眠です。睡眠中には、体の修復や免疫機能を調整するホルモンが分泌されます。特に子どもは成長のためにも十分な睡眠時間が必要です。寝る前のスマートフォンやテレビを控え、リラックスできる環境を整えてあげましょう。そして、適度な運動も免疫力の維持に役立ちます。屋外で体を動かして遊ぶことは、体力向上だけでなく、ストレス発散にも繋がり、心身の健康を保つ上で効果的です。もちろん、手洗いやうがいといった基本的な感染対策は絶対に欠かせません。原因ウイルスは主に飛沫や接触、便を介して感染するため、外出後や食事前、トイレの後の手洗いを徹底する習慣が、ウイルスを体内に侵入させないための最も有効なバリアとなります。特定の食品を食べれば免疫が劇的に上がるというわけではありませんが、こうした日々の地道な積み重ねが、手足口病の流行シーズンを元気に乗り切るための礎となるのです。