もう半年以上も前のことです。私の喉に、まるで小さな飴玉がずっと張り付いているかのような奇妙な違和感が居座り始めました。飲み込もうとしても消えず、咳払いをしても取れない。痛みはないのですが、四六時中その存在が気になり、仕事にも集中できませんでした。最初に私が向かったのは、会社の近くにある内科クリニックでした。風邪のひきはじめかもしれないと思い、症状を話すと、うがい薬と炎症を抑える薬を処方されました。しかし、一週間経っても症状は一向に改善しません。不安になった私は、次に専門家である耳鼻咽喉科の門を叩きました。そこでは鼻から細いカメラを入れる検査を受け、喉の奥まで念入りに診てもらいました。画面に映し出される自分の喉を見ながら、何か悪いものでも見つかるのではないかと心臓が縮む思いでした。しかし、医師から告げられたのは「とても綺麗ですよ。何も異常はありません」という意外な言葉でした。安心した反面、ではこの不快感の原因は何なのだろうという新たな疑問が湧き上がりました。医師からは、逆流性食道炎の可能性も示唆され、胃酸を抑える薬を試してみることになりました。けれど、その薬も私には効果がありませんでした。その後も、アレルギーを疑ってアレルギー科へ、さらには呼吸器内科へと、まるでドクターショッピングのように病院を渡り歩きました。どの科でも決定的な原因は見つからず、私の心は次第に疲弊していきました。そんな時、ある医師が「ストレスが溜まっていませんか」と優しく問いかけてくれたのです。その一言に、私はハッとしました。確かに当時は仕事のプレッシャーで心身ともに追い詰められていました。その医師の勧めで心療内科を受診したところ、「咽喉頭異常感症」、いわゆるヒステリー球と診断されたのです。ストレスが自律神経を乱し、喉の筋肉を異常に緊張させていたことが原因でした。抗不安薬の服用とカウンセリングを始めると、あれほど頑固だった喉の違和感が、嘘のように少しずつ和らいでいきました。喉の症状で心療内科に行き着くとは夢にも思いませんでしたが、この経験を通じて、心と体がいかに密接に繋がっているかを痛感しました。
私の喉の違和感、たらい回しの末に辿り着いた答え