片頭痛の悩みで初めて病院を訪れる際、多くの人が自分の症状をうまく医師に伝えられるか不安に感じるものです。限られた診察時間の中で、長年の複雑な症状を的確に説明するのは簡単なことではありません。しかし、医師が正確な診断を下し、あなたに最適な治療法を見つけるためには、患者からの情報が何よりも重要な手がかりとなります。そこで、ぜひ実践していただきたいのが「頭痛ダイアリー」をつけることです。これは、あなたの頭痛の特性を客観的に記録し、医師に正確に伝えるための最も強力なツールとなります。難しく考える必要はありません。ノートや手帳、あるいはスマートフォンのアプリなどを利用して、頭痛が起きた時にいくつかの項目を記録するだけです。まず記録すべきは、「いつ」頭痛が起きたか(日付と時間)、そして「どのくらい続いたか」です。次に、「痛みの強さ」を、例えば「10段階評価」や「日常生活への支障度(我慢できる、仕事に支障あり、寝込むなど)」で記録します。そして、「どのような痛み」だったか(ズキンズキンと脈打つ、締め付けられる、など)、痛みの場所(頭の片側か両側か、こめかみ、後頭部など)も重要な情報です。さらに、頭痛以外の「随伴症状」の有無も忘れずに記録しましょう。具体的には、吐き気や嘔吐、光や音、匂いに対する過敏さなどです。また、片頭痛に特徴的な「前兆」の有無も極めて重要です。痛みが始まる前に、視界にギザギザした光が見えたり、視野の一部が欠けたり、手足がしびれたりといった症状がなかったかを記録します。加えて、頭痛の「誘因」として思い当たること(寝不足、ストレス、特定の食べ物、天候の変化など)、女性の場合は月経周期との関連もメモしておくと、診断や生活指導の大きな助けになります。服用した薬の名前と、その効果の有無も記録しておけば完璧です。このダイアリーを持参することで、あなたは自分の頭痛の全体像を自信を持って医師に伝えることができます。それは、的確な診断と治療への最短ルートを切り拓く、あなた自身にできる最善の準備なのです。