ズキン、ズキンと脈を打つようにこめかみが痛み、光や音に過敏になって部屋に閉じこもらざるを得ない。時には吐き気や嘔吐を伴い、数日間も寝込んでしまうほどの激しい頭痛。このような片頭痛の症状は、経験した人でなければわからない、非常につらいものです。多くの人が市販の鎮痛薬でその場をしのいでいますが、根本的な解決には至らず、いつまた発作が起きるかと不安な日々を過ごしているのではないでしょうか。いざ、この悩みを専門家に相談しようと思っても、「一体、何科の病院へ行けば良いのか」と迷ってしまうのは当然のことです。風邪なら内科、骨折なら整形外科と明確ですが、頭痛、特に片頭痛の場合はその専門性が分かりにくいかもしれません。このような時、あなたが最初に訪れるべき最適な診療科は「脳神経内科」あるいは「神経内科」です。これらの科は、脳、脊髄、末梢神経、筋肉といった神経系全般の病気のうち、主に手術を必要としない内科的な疾患を診断し、治療するエキスパート集団です。片頭痛は、脳の血管の拡張や収縮、そして神経伝達物質の異常な活動といった、脳の機能的な問題によって引き起こされると考えられており、まさに脳神経内科の専門領域の中心に位置する疾患なのです。専門医は、まず患者さんの話を詳細に聞くことから始めます。どのような痛みか、頻度はどのくらいか、どんな状況で悪化するか、前兆はあるかといった丁寧な問診を通じて、頭痛のタイプを正確に診断します。その上で、市販薬とは作用機序が全く異なる片頭痛専用の治療薬であるトリプタン製剤や、近年登場した新しいタイプの薬を処方したり、発作の頻度そのものを減らすための「予防療法」を提案したりと、一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療戦略を立ててくれます。長年、体質だからと諦めていたそのつらい片頭痛は、適切な専門医にかかることで、劇的に改善する可能性があります。勇気を出して、脳神経内科の扉を叩いてみてください。