喉に違和感を覚えて病院へ行く際、どの診療科を選ぶかという問題と同じくらい重要なのが、「医師に自分の症状をいかに正確に伝えるか」ということです。限られた診察時間の中で的確な診断を下してもらうためには、患者側からの情報提供が非常に大きな役割を果たします。特に喉の違和感のような、客観的な所見に乏しい症状の場合はなおさらです。まず、何科を受診するかにかかわらず、事前に伝えるべき情報を整理しておきましょう。最も大切なのは、「いつから」その症状が始まったかという時間的な経過です。昨日からなのか、一週間前からなのか、あるいは数ヶ月続いているのかで、考えられる疾患は大きく異なります。次に、「どのような」違和感なのかを、できるだけ具体的に表現する努力をしてみてください。「何かが詰まった感じ」「イガイガ、チクチクする感じ」「締め付けられる感じ」「何かが張り付いている感じ」など、自分の感覚に最も近い言葉を選びましょう。「喉の調子が悪い」といった曖昧な表現だけでは、医師も診断の糸口を掴みにくくなります。さらに、「どのような時に」症状が強くなるか、あるいは和らぐかという情報も極めて重要です。例えば、「食事をすると楽になる」「横になるとひどくなる」「朝起きた時が一番つらい」「特定の食べ物を食べた後に悪化する」といった具体的な状況は、逆流性食道炎やアレルギー、心因性の問題を鑑別する上で有力な手がかりとなります。また、喉の違和感以外の症状、いわゆる「随伴症状」の有無も必ず伝えましょう。胸焼け、咳、痰、声がれ、体重減少、発熱、鼻水など、一見関係ないと思われることでも、診断のパズルを完成させるための重要なピースになることがあります。これらの情報を事前にメモにまとめておき、診察時に医師に見せながら説明するのも良い方法です。的確な情報提供は、不要な検査や診療科のたらい回しを防ぎ、スムーズな診断と治療への最短ルートを切り拓く鍵となるのです。
診療科選びで迷わない。喉の症状を正しく伝えるコツ