手足口病に何度もかかるのはなぜ?免疫の仕組みを解説
夏になると子どもの間で流行する手足口病。一度かかったからもう安心、と思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。しかし、手足口病は一度感染しても、再びかかる可能性がある病気です。その理由は、手足口病の免疫システムが持つ特有の性質にあります。この病気を引き起こす原因ウイルスは一つではなく、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスといった複数の種類が存在しているのです。例えば、ある年にコクサッキーウイルスA6型に感染して手足口病を発症した場合、そのウイルスに対する免疫は獲得できます。しかし、その免疫はA6型に対してのみ有効であり、翌年に別の型であるエンテロウイルス71型が流行すれば、そのウイルスに対しては免疫がないため、再び手足口病にかかってしまう可能性があるのです。これが、手足口病が繰り返し感染する最大の理由です。獲得した免疫は、原因となった特定のウイルスに対しては比較的長く持続すると考えられていますが、全ての型のウイルスをカバーする万能な免疫というわけではありません。そのため、毎年のように流行の主流となるウイルスの型が異なると、過去に感染歴があっても防御できないという事態が起こります。子どもたちが集団生活を送る保育園や幼稚園で毎夏のように流行が繰り返されるのも、このウイルスの多様性が背景にあります。手足口病の免疫について正しく理解することは、適切な予防策を講じ、子どもの健康を守る上で非常に重要です。一度かかったからと油断せず、流行シーズンには手洗いやうがいなどの基本的な感染対策を徹底することが、家族全員をウイルスから守るための鍵となります。