長年片頭痛と付き合っていると、発作の予兆や痛みのパターンがある程度分かってくるものです。そのため、多少の痛みであれば「またいつものか」と自己判断で対処してしまうことも多いでしょう。しかし、その「いつもの頭痛」という思い込みが、命に関わる重大な病気の見逃しに繋がる危険性もはらんでいます。片頭痛とは全く異なる、緊急性の高い危険な頭痛のサインを知っておくことは、自分自身の命を守る上で極めて重要です。まず、最も警戒すべきサインは、「これまでに経験したことのないような、突然の激しい痛み」です。よく「バットで後頭部を殴られたような」と表現される、突発的で激烈な頭痛は、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血の典型的な症状です。この場合は一刻を争うため、迷わず救急車を呼ぶ必要があります。次に、頭痛以外の神経症状を伴う場合も非常に危険です。具体的には、「体の片側の手足がしびれる、力が入らない」「ろれつが回らない、言葉が思うように出てこない」「物が二重に見える、視野の片側が見えなくなる」「立っていられないほど激しいめまいがする」といった症状です。これらは脳梗塞や脳出血といった脳卒中のサインであり、頭痛と共に現れた場合は、すぐに専門的な治療が受けられる脳神経外科のある病院へ向かうべきです。また、発熱を伴う頭痛にも注意が必要です。38度以上の高熱と共に、頭痛がどんどんひどくなる、首の後ろが硬直して曲げにくくなる、意識が朦朧とするといった症状がある場合は、髄膜炎や脳炎といった脳の感染症が疑われます。これもまた緊急性の高い状態です。これらの危険なサインは、片頭痛の前兆として現れる閃輝暗点(ギザギザの光)などとは明らかに性質が異なります。「いつもと違う」「何かおかしい」という直感は、体が発している重要な警告信号です。決して軽視せず、自己判断で様子を見ることは絶対にやめてください。迅速な行動が、後遺症なく回復できるかどうかの分かれ道になることもあるのです。
これは危険!いつもの片頭痛と違う頭痛のサイン