ある日突然、体に熱っぽさを感じ、鏡を見ると見慣れない発疹が広がっている。しかも、不思議とかゆみは全くない。このような症状に見舞われた時、多くの大人は戸惑い、何科を受診すれば良いのか迷ってしまうことでしょう。風邪のような気もするし、皮膚の病気のようにも見える。この「発熱」と「かゆみのない発疹」という組み合わせの症状で、まず最初に考えるべき診療科は「内科」あるいは「皮膚科」です。どちらを受診するかは、症状の強さや特徴によって判断すると良いでしょう。例えば、高熱や強い倦怠感、関節痛、喉の痛みといった全身症状が発疹よりも顕著である場合は、まず内科を受診するのが適切です。ウイルスや細菌による全身性の感染症が原因である可能性が高く、内科医は血液検査などを用いてその原因を特定し、全身状態を管理しながら治療を進めてくれます。一方で、熱は微熱程度で、むしろ発疹の状態が気になる、発疹が特定の部位に集中している、あるいは特徴的な形をしているという場合は、皮膚科が第一選択となります。皮膚科医は発疹そのものを診るプロフェッショナルです。視診やダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いた検査で、発疹の種類を詳細に分析し、診断の手がかりを得ることができます。薬疹(薬によるアレルギー反応)や、特定の皮膚疾患の可能性を判断するのに長けています。実際には、内科と皮膚科は連携が密な領域であり、どちらか一方を受診すれば、必要に応じて適切な科を紹介してもらえます。大切なのは、自己判断で様子を見過ぎないことです。特に大人の発疹は、重大な内臓疾患のサインである可能性もゼロではありません。不安な症状があれば、まずはかかりつけの内科、あるいは近くの皮膚科に相談することから始めましょう。それが、的確な診断と早期治療への最も確実な第一歩となります。