突発性発疹は、主にヒトヘルペスウイルス六型、および七型(HHVー6、HHVー7)への初感染によって引き起こされる良性の発疹性疾患です。小児科の臨床において、この疾患の診断を確定させる上で重要な指標の一つとなっているのが、解熱前後に認められる眼瞼浮腫、通称ベルリナー兆候です。これは一九三五年にベルリナーによって提唱されたもので、高熱が出ている最中、あるいは解熱して発疹が出る直前の時期に、まぶたが浮腫状に腫れる現象を指します。医学的なメカニズムとしては、ウイルスが全身の単核球やリンパ球に感染し、血管透過性に影響を与えるサイトカインが放出されることで、皮下組織が粗でむくみやすい眼瞼周囲に水分が停滞しやすくなるためと考えられています。また、目の周りに現れる発疹については、真皮層の血管周囲における単核球の浸潤が主な病理的特徴であり、これが皮膚の薄い顔面において顕著な赤みや腫れとして観察されます。興味深いのは、このベルリナー兆候が認められる症例では、診断が比較的容易になる一方で、保護者へのインフォームドコンセントが重要になるという点です。顔貌の変化は、保護者に強い心理的ストレスを与えるため、これが疾患の正常な経過であることを事前に説明しておく必要があります。また、鑑別診断として重要なのは、薬疹やじんましんです。熱に対して解熱鎮痛剤を使用した後に目の周りが腫れた場合、薬物アレルギーの可能性を否定できません。しかし、薬疹の場合は発疹が融合して大きくなったり、痒みが非常に強かったり、あるいは粘膜のびらんを伴ったりすることが多いのに対し、突発性発疹によるものは、個々の斑状丘疹が独立しており、数日で速やかに消退するという違いがあります。さらに、HHVー6は中枢神経親和性が高く、熱性けいれんを合併しやすいことでも知られています。目の周りが腫れている時期は、ちょうどウイルス血症が終息し、抗体が産生され始める動的な時期にあたります。この時期の不機嫌は、脳内での微細な炎症や免疫反応の余波であるという説もあり、身体的な変化だけでなく、行動学的な変化もセットで観察することが求められます。結論として、突発性発疹に伴う目の周りの症状は、生体防御反応の結果として現れる一過性の現象であり、特別な薬物療法を必要としないことがほとんどです。医療従事者は、このサインを的確に捉えて診断に活かすとともに、保護者の不安に寄り添い、適切なセルフケアの指導を行うことが、地域小児医療における重要な役割となります。
突発性発疹に伴う眼瞼浮腫とベルリナーの兆候に関する医学的考察