日常生活の中で、これまでに経験したことがないほど突然、激しい息苦しさに襲われたとき、私たちは何科を受診すべきか迷うよりも先に、命の危険を感じて立ちすくんでしまうことがあります。このような急激な発症、特に安静にしていても一向に改善しない息苦しさは、一刻を争う救急疾患のサインです。救急医療の現場では、息苦しさは最優先で対応されるべき主訴の一つであり、そこには自分では判断のつかない深刻なトラブルが潜んでいることがあります。例えば、肺に突然穴が開いて空気が漏れ出し、肺が萎んでしまう自然気胸や、足の血管でできた血栓が流れて肺の血管に詰まる肺塞栓症、あるいはアレルギー物質によって気道が急激に腫れ上がるアナフィラキシーなどが挙げられます。これらは診療科を検討している間に数分単位で病状が悪化し、命に関わる事態に発展する可能性があります。もし、急に息苦しくなったのと同時に顔や唇が紫色になるチアノーゼが見られる、冷や汗が出て意識が遠のく、あるいは短文さえ喋れないほど呼吸が苦しいという状況であれば、迷わず一一九番通報を行い、救急車を要請してください。救急隊員は現場でのトリアージーを行い、その患者の病態に合わせて呼吸器、循環器、あるいは救急救命センターといった最適な受け入れ先を瞬時に選定してくれます。また、突然の息苦しさではなくても、高熱と激しい咳を伴い、肩を上下させて呼吸をしているような状態も、重症肺炎の可能性があり急を要します。一方で、パニック障害などで突然息が吸えなくなることもありますが、これと致死的な身体疾患を自分一人で鑑別するのは不可能です。救急車を呼ぶのは大げさではないか、迷惑をかけるのではないかと躊躇う方は多いですが、呼吸という生命維持の根幹が揺らいでいるときに、プロの助けを求めることは当然の権利です。救急車を呼ぶほどではないと感じつつも、明らかに様子がおかしいという場合は、シャープ七一一九などの救急安心センターに電話をかけ、今の症状から受診の必要性や適切な診療科について看護師などのアドバイスを仰ぐのも一つの賢明な方法です。突然の息苦しさは、体からの非常事態宣言です。診療科選びに時間を費やすのではなく、最速で適切な医療の入り口にアクセスすることを最優先に考え、冷静かつ迅速に行動することが、あなたや大切な人の命を守るための絶対的な鉄則となります。
突然息苦しい状態に陥った時の救急車要請と受診の判断