ある日の夕方、三歳になる息子が突然の熱を出し、不機嫌そうに泣き続けました。最初は単なる風邪だろうと思い、自宅で様子を見ていたのですが、翌朝になっても熱は下がらず、喉の痛みを訴えるようになりました。朝食を食べたがらないので、口の中を確認しようと「あーんして」と促すと、そこには今まで見たこともないような奇妙な舌がありました。表面が真っ赤で、まるで本物のイチゴをそのまま舌にしたような、粒々とした突起が全体に広がっていたのです。これがインターネットや育児書で目にしていたイチゴ舌なのだと直感した瞬間、背筋が凍るような不安に襲われました。急いで小児科を受診し、医師に「舌がイチゴのようになっています」と伝えると、先生は慣れた手つきで息子の喉と舌を診察してくれました。医師の説明によれば、このイチゴ舌は溶連菌という細菌による感染症の典型的な症状だということでした。先生は私の不安を察してか、イチゴ舌の見分け方についても丁寧に教えてくれました。素人目にはただ赤く見えるだけかもしれませんが、プロの視点では、舌の表面にある乳頭が炎症で肥大していること、そして舌全体が浮腫を起こして厚くなっていることが重要な判断材料になるそうです。また、溶連菌以外にも川崎病などで見られることがあるけれど、今回のケースでは喉の激しい赤みと、体に現れ始めたザラザラとした細かい発疹が、溶連菌感染症を裏付けていると教えてくれました。検査の結果、やはり溶連菌陽性と判定され、適切な抗菌薬を処方されました。医師からは、イチゴ舌自体が痛みを持つわけではないけれど、炎症のサインであるため、食事は刺激の少ないものを与えるようにとのアドバイスを受けました。数日間の投薬によって、あれほど鮮明だった舌の赤みとブツブツは、魔法のように引いていき、元のピンク色の舌に戻っていきました。あの日、もし私がイチゴ舌に気づかず、ただの風邪として放置していたら、合併症のリスクもあったかもしれません。親として子供の体の小さな変化に気づくことの重みを、痛いほど実感した出来事でした。特に舌の異常は、一見すると食べ物の色のせいかなと見過ごしてしまいがちですが、あの独特の粒々とした質感は一度見れば忘れられないほど特徴的です。これからお子さんの体調不良に直面する親御さんたちには、ぜひ喉だけでなく舌の状態も注意深く観察してほしいと思います。イチゴ舌は、治療が必要な病気が隠れていることを教えてくれる、貴重な道標なのですから。
イチゴ舌に気づいた日の記録と小児科での診断