それは友人と楽しんだ食事の二日後のことでした。夜中に突然、胃を雑巾で絞り上げられるような鋭い痛みに襲われ、私は目を覚ましました。最初は少し食べ過ぎただけだろうと軽く考えていましたが、それから数分もしないうちに激しい吐き気に襲われ、トイレに駆け込むことになりました。何度も繰り返す嘔吐と、水のような下痢。全身からは嫌な汗が吹き出し、指先が少し震えているのを感じました。今まで経験したことのない異常な苦しさに、これが噂に聞く食中毒なのだと確信しました。朝まで待とうと布団の中で丸まっていましたが、一向に症状は治まらず、むしろ腹痛の間隔は短くなり、痛みは増すばかりでした。水を飲もうとしても喉を通らず、その頃には立ち上がることすらままならないほど体力を消耗していました。家族に付き添われ、這うような思いで早朝の救急外来を受診しました。待合室の椅子に座っているのも辛い状況でしたが、看護師さんがすぐに車椅子を用意してくれ、医師の診察を受けることができました。医師は私の顔色の悪さと、お腹の張り、そして直近の食事内容を詳しく確認しました。血液検査と点滴がすぐに行われ、血管を通して水分が体に入ってくると、少しずつ霧が晴れるように意識がはっきりとしてきたのを覚えています。診断結果はカンピロバクターによる細菌性食中毒でした。医師からは、もしあと数時間受診が遅れていたら、重度の脱水症で意識を失っていたかもしれないと言われ、背筋が凍る思いがしました。病院へ行くべきかどうか迷っていた自分が今となっては信じられません。あの時、我慢せずに受診するという決断をしたことが、その後のスムーズな回復に繋がったのだと確信しています。病院では適切な抗生物質と整腸剤が処方され、絶食の指示とともに管理方法を細かく教えてもらいました。入院こそ免れましたが、数日間は自宅で療養を余儀なくされました。この体験を通して痛感したのは、自分の体の限界を過信してはいけないということです。特に食中毒は、症状の進行が非常に速く、あっという間に自力で動けなくなることがあります。少しでも「これは普通ではない」と感じる痛みや吐き気があるのなら、迷っている時間はも用です。病院へ行くことは、決して大げさなことではなく、自分を守るための当然の権利なのだと、あの時の自分に言い聞かせたいです。