医療Q&Aや掲示板、専門家とのチャット形式コラム

2025年7月
  • 片頭痛の悩みはまず脳神経内科を受診しよう

    医療

    ズキン、ズキンと脈を打つようにこめかみが痛み、光や音に過敏になって部屋に閉じこもらざるを得ない。時には吐き気や嘔吐を伴い、数日間も寝込んでしまうほどの激しい頭痛。このような片頭痛の症状は、経験した人でなければわからない、非常につらいものです。多くの人が市販の鎮痛薬でその場をしのいでいますが、根本的な解決には至らず、いつまた発作が起きるかと不安な日々を過ごしているのではないでしょうか。いざ、この悩みを専門家に相談しようと思っても、「一体、何科の病院へ行けば良いのか」と迷ってしまうのは当然のことです。風邪なら内科、骨折なら整形外科と明確ですが、頭痛、特に片頭痛の場合はその専門性が分かりにくいかもしれません。このような時、あなたが最初に訪れるべき最適な診療科は「脳神経内科」あるいは「神経内科」です。これらの科は、脳、脊髄、末梢神経、筋肉といった神経系全般の病気のうち、主に手術を必要としない内科的な疾患を診断し、治療するエキスパート集団です。片頭痛は、脳の血管の拡張や収縮、そして神経伝達物質の異常な活動といった、脳の機能的な問題によって引き起こされると考えられており、まさに脳神経内科の専門領域の中心に位置する疾患なのです。専門医は、まず患者さんの話を詳細に聞くことから始めます。どのような痛みか、頻度はどのくらいか、どんな状況で悪化するか、前兆はあるかといった丁寧な問診を通じて、頭痛のタイプを正確に診断します。その上で、市販薬とは作用機序が全く異なる片頭痛専用の治療薬であるトリプタン製剤や、近年登場した新しいタイプの薬を処方したり、発作の頻度そのものを減らすための「予防療法」を提案したりと、一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療戦略を立ててくれます。長年、体質だからと諦めていたそのつらい片頭痛は、適切な専門医にかかることで、劇的に改善する可能性があります。勇気を出して、脳神経内科の扉を叩いてみてください。

  • 予備軍から脱出。私が実践した食生活改善法

    知識

    会社の健康診断で血糖値の異常を指摘され、「境界型糖尿病」、いわゆる糖尿病予備軍と診断されたのは一年前のことでした。自覚症状が全くなかっただけに、その衝撃は大きなものでした。しかし、落ち込んでいても始まらないと思い、私はまず自分の食生活を徹底的に見直すことから始めました。振り返ってみると、私の食生活は糖質と脂質に偏っていました。朝は菓子パンと甘いカフェオレ、昼はラーメンとチャーハンのセット、夜は揚げ物をつまみにビールを飲むのが日課でした。これでは血糖値が上がるのも当然です。まず私が取り組んだのは、食事の「食べる順番」を変えることでした。いわゆる「ベジタブルファースト」です。食事の最初に野菜やきのこ、海藻類などの食物繊維が豊富なものから食べ、次におかずである肉や魚などのタンパク質、そして最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べるようにしました。これにより、血糖値の急激な上昇を抑えることができると知ったからです。最初は物足りなさを感じましたが、よく噛んで食べることを意識すると、少ないご飯の量でも満腹感を得られるようになりました。また、大好きだった甘い缶コーヒーやジュースをきっぱりとやめ、お茶か水に切り替えました。間食にはナッツやヨーグルトを選び、夜の晩酌も週に二回までと決めました。劇的な変化ではありません。しかし、こうした地道な改善を三ヶ月ほど続けた頃、体の調子が明らかに軽くなっていることに気づきました。そして半年後の再検査。私のヘモグロビンA1cの数値は、見事に正常範囲内に戻っていたのです。医師から「よく頑張りましたね」と言われた時の喜びは、今でも忘れられません。食生活の改善は、糖尿病予備軍から脱出するための最も確実で力強い武器だと、私は身をもって実感しています。

  • 診療科選びで迷わない。喉の症状を正しく伝えるコツ

    医療

    喉に違和感を覚えて病院へ行く際、どの診療科を選ぶかという問題と同じくらい重要なのが、「医師に自分の症状をいかに正確に伝えるか」ということです。限られた診察時間の中で的確な診断を下してもらうためには、患者側からの情報提供が非常に大きな役割を果たします。特に喉の違和感のような、客観的な所見に乏しい症状の場合はなおさらです。まず、何科を受診するかにかかわらず、事前に伝えるべき情報を整理しておきましょう。最も大切なのは、「いつから」その症状が始まったかという時間的な経過です。昨日からなのか、一週間前からなのか、あるいは数ヶ月続いているのかで、考えられる疾患は大きく異なります。次に、「どのような」違和感なのかを、できるだけ具体的に表現する努力をしてみてください。「何かが詰まった感じ」「イガイガ、チクチクする感じ」「締め付けられる感じ」「何かが張り付いている感じ」など、自分の感覚に最も近い言葉を選びましょう。「喉の調子が悪い」といった曖昧な表現だけでは、医師も診断の糸口を掴みにくくなります。さらに、「どのような時に」症状が強くなるか、あるいは和らぐかという情報も極めて重要です。例えば、「食事をすると楽になる」「横になるとひどくなる」「朝起きた時が一番つらい」「特定の食べ物を食べた後に悪化する」といった具体的な状況は、逆流性食道炎やアレルギー、心因性の問題を鑑別する上で有力な手がかりとなります。また、喉の違和感以外の症状、いわゆる「随伴症状」の有無も必ず伝えましょう。胸焼け、咳、痰、声がれ、体重減少、発熱、鼻水など、一見関係ないと思われることでも、診断のパズルを完成させるための重要なピースになることがあります。これらの情報を事前にメモにまとめておき、診察時に医師に見せながら説明するのも良い方法です。的確な情報提供は、不要な検査や診療科のたらい回しを防ぎ、スムーズな診断と治療への最短ルートを切り拓く鍵となるのです。

  • ストレスも大敵?見過ごされがちな改善ポイント

    医療

    糖尿病予備軍からの脱出を目指す時、多くの人がまず意識するのは「食事」と「運動」でしょう。もちろん、これらは血糖コントロールの基本であり、最も重要な要素です。しかし、実はもう一つ、見過ごされがちでありながら非常に大きな影響を与える要素があります。それが「ストレス」と「睡眠」です。私たちの体は、強いストレスを感じると、それに対抗するためにコルチゾールやアドレナリンといったホルモンを分泌します。これらのホルモンには、血糖値を上昇させる作用があるのです。一時的なストレスであれば問題ありませんが、仕事や人間関係などで慢性的なストレスに晒され続けると、血糖値が高い状態が続きやすくなり、インスリンの働きも悪くなってしまいます。つまり、いくら食事に気をつけていても、強いストレスがその効果を打ち消してしまう可能性があるのです。ストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりの解消法を見つけることが大切です。趣味に没頭する時間を作ったり、友人と話したり、ゆっくりお風呂に浸かったりするだけでも心身はリラックスします。また、ストレスと密接に関係しているのが「睡眠」です。睡眠不足は、食欲を増進させるホルモンを増やし、満腹感を得るホルモンを減らすことが分かっています。その結果、食べ過ぎに繋がりやすくなるだけでなく、睡眠不足自体がインスリンの効きを悪くし、血糖値を上げやすくします。理想的なのは、毎日7時間程度の質の良い睡眠を確保することです。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、寝室を快適な環境に整えるなど、安眠のための工夫をしてみましょう。食事や運動といった直接的なアプローチに加え、ストレス管理や睡眠改善といった生活全体の質を高める視点を持つこと。それが、糖尿病予備軍から抜け出すための、隠れた、しかし強力な鍵となるのです。

  • 上の子が治ったのに。我が家の手足口病再感染の記録

    医療

    あれは忘れもしない、去年の夏のことでした。当時四歳だった長男が保育園から手足口病をもらってきたのです。口の中と手足に痛々しい発疹が広がり、高熱も出て数日間は本当に辛そうでした。看病する私もへとへとになりましたが、なんとか乗り切り、ようやく日常が戻ってきた矢先のことです。わずか一年後、今度は当時二歳だった次男が手足口病と診断されました。ああ、またこの季節が来たか、と覚悟を決めていました。長男は去年かかったから免疫があるはず、今回は次男だけの看病で済むだろう。そう高を括っていたのです。しかし、その考えは甘かったとすぐに思い知らされました。次男の発疹が出始めてから三日後、長男が「なんだか体がだるい」と言い出したのです。熱を測ると微熱があり、翌日には手や足の裏にぽつぽつと赤い発疹が現れました。まさか、と思い小児科に駆け込むと、医師から告げられたのは「手足口病ですね」という言葉でした。去年かかったのに、なぜ。頭が真っ白になりました。医師の説明によると、手足口病の原因ウイルスは複数あり、去年かかったウイルスとは違う種類のウイルスに感染したのだろうとのことでした。一度獲得した免疫は、同じ型のウイルスには有効だけれど、別の型には効かない。その事実を、身をもって痛感した瞬間でした。幸い、長男の二度目の症状は前回よりも軽く済みましたが、家族内での感染拡大を防ぐための隔離や消毒は本当に大変でした。この経験を通じて、手足口病の免疫は決して万能ではないということを学びました。一度かかったから大丈夫、という油断は禁物です。毎年違うウイルスが流行する可能性を念頭に置き、季節を問わず感染対策を続けることの大切さを、改めて感じさせられた出来事でした。

  • かゆくない発疹と熱はウイルス感染のサインかも

    医療

    大人が発熱と共に発疹を経験する場合、その多くはウイルス感染が原因です。ウイルスが体内に侵入し、増殖する過程で免疫系が反応し、その結果として発熱や発疹といった症状が現れるのです。かゆみを伴わない発疹を引き起こす代表的なウイルス性疾患には、いくつかの種類があります。まず考えられるのが「麻疹(はしか)」や「風疹(三日ばしか)」です。これらは子どもの病気というイメージが強いですが、ワクチン未接種であったり、抗体が低下したりしている大人が感染すると、子どもより重症化する傾向があります。麻疹は高熱と共に、顔から全身へと広がる融合性の赤い発疹が特徴で、コプリック斑と呼ばれる口の中の白い斑点も診断の手がかりとなります。風疹は、比較的低い熱と、耳の後ろや首のリンパ節の腫れ、そしてピンク色の細かい発疹が全身に現れます。これらの疾患は感染力が非常に強いため、疑わしい場合は必ず事前に医療機関に連絡し、指示を仰ぐ必要があります。また、「伝染性単核球症」という、主にEBウイルスによって引き起こされる病気も原因の一つです。これは「キス病」とも呼ばれ、唾液を介して感染します。喉の強い痛みや高熱、首のリンパ節の腫れが主な症状ですが、全身に様々なタイプの発疹が出ることがあります。特に、この病気の際に特定の抗菌薬を服用すると、高い確率で薬疹様の皮疹が出現することが知られています。その他にも、突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルス6型や、エンテロウイルス、アデノウイルスなど、多くのウイルスがかゆみを伴わない発疹の原因となり得ます。これらのウイルス性発疹症は、特効薬がなく対症療法が中心となりますが、正確な診断を受けることで、適切な療養方法の指導を受けたり、周囲への感染拡大を防いだりすることができます。

  • 赤ちゃんをウイルスから守る。家族で築く免疫の防波堤

    生活

    生まれたばかりの赤ちゃんは、母親から胎盤や母乳を通じて免疫グロブリンという抗体を受け取り、様々な病気から守られています。この移行免疫のおかげで、生後半年くらいまでの赤ちゃんは、比較的感染症にかかりにくいと言われています。しかし、この母親由来の免疫も万能ではなく、徐々に減少していきます。手足口病に関しても、母親が過去に感染したことのある型のウイルスに対しては、ある程度の抵抗力を持っている可能性がありますが、母親が免疫を持っていない型のウイルスに対しては無防備です。特に、上にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいる家庭では、保育園や幼稚園からウイルスが持ち込まれるリスクが高まります。赤ちゃん、特に月齢の低い新生児や乳児が手足口病にかかると、哺乳力が低下したり、脱水症状を起こしやすかったりと、注意深い観察が必要です。まれに髄膜炎や脳炎といった重篤な合併症を引き起こすこともあるため、感染させないための対策が何よりも重要になります。赤ちゃん自身が免疫を獲得するまでの間、家族がウイルスの侵入を防ぐ「免疫の防波堤」となる必要があります。具体的には、まず上の子の健康管理を徹底することです。流行シーズンには、帰宅後の手洗い、うがいを習慣づけ、体調に変化がないか注意深く見守ります。もし上の子が感染してしまった場合は、できる限り赤ちゃんと接触させないように生活空間を分ける工夫が求められます。また、おむつ交換の際には、便の中に排出されたウイルスに触れないよう、使い捨て手袋を使用し、処理後は念入りに手を洗うことが不可欠です。看病する大人も、自身が感染の媒介者にならないよう、マスクの着用やこまめな手指消毒を徹底します。家族全員で正しい知識を持ち、一丸となって予防に取り組むことで、最も無防備な赤ちゃんをウイルスの脅威から守ることができるのです。

  • 手足口病の免疫は永続する?専門家が語る巷の噂

    知識

    手足口病に関して、保護者の間では様々な情報が飛び交います。「一度かかればもうかからない」「大人がかかると大変らしい」といった話はよく耳にしますが、その中には誤解に基づいたものも少なくありません。特に免疫に関する疑問は多く、一度獲得した免疫がどのくらい持続するのか、本当に一生ものなのかという点は、多くの人が気になるところでしょう。感染症の専門家によると、手足口病の免疫の考え方は少し複雑です。まず大前提として、手足口病の原因ウイルスは複数存在します。ある特定の型のウイルス、例えばコクサッキーウイルスA6型に感染した場合、このA6型に対する免疫は、獲得後かなり長期間、場合によっては生涯にわたって持続すると考えられています。つまり、A6型に対しては「免疫が永続する」と言っても良いかもしれません。しかし、これはあくまでA6型に限った話です。手足口病の原因となるウイルスは他にもたくさんあり、別の型のウイルス、例えばエンテロウイルス71型には、その免疫は全く効果がありません。したがって、「手足口病そのものに対する免疫が永続する」という表現は正しくないのです。巷で「手足口病に二度かかった」という話がよく聞かれるのは、このためです。一度目と二度目では、異なる型のウイルスに感染しているケースがほとんどなのです。また、加齢とともに免疫力が低下することで、過去に感染した型のウイルスに再び感染する可能性もゼロではありませんが、これは比較的稀なケースとされています。結論として、特定のウイルス型に対する免疫は長く続くものの、手足口病という病気全体から完全に卒業できるわけではない、と理解するのが最も正確です。この事実を念頭に置き、油断することなく予防策を続けることが大切です。

  • 細菌感染が原因?熱と発疹に潜む見えない脅威

    医療

    大人の発熱と発疹の原因として、ウイルス感染や薬疹がよく知られていますが、見過ごしてはならないのが「細菌感染」によるものです。ウイルス感染症とは異なり、細菌感染症の多くは抗菌薬(抗生物質)による治療が有効であり、早期に診断して適切な治療を開始することが重症化を防ぐ鍵となります。かゆみを伴わない発疹と発熱を引き起こす代表的な細菌感染症の一つに、「溶連菌感染症」があります。正式にはA群β溶血性レンサ球菌という細菌による感染症で、主に喉の痛みや高熱が特徴ですが、時に「猩紅熱(しょうこうねつ)」と呼ばれる全身性の発疹を伴うことがあります。この発疹は、細かい点状の赤い発疹が密集して現れ、触ると紙やすりのようにザラザラしているのが特徴です。主に体や首、手足に見られますが、かゆみは軽いか、全くない場合が多いです。治療が遅れると、急性糸球体腎炎やリウマチ熱といった深刻な合併症を引き起こすリスクがあるため、迅速な診断と抗菌薬治療が不可欠です。また、自然界に潜む細菌が原因となるケースもあります。例えば、ダニの一種であるツツガムシに刺されることで感染する「つつが虫病」や、マダニに刺されることで感染する「日本紅斑熱」などのリケッチア感染症です。これらの病気では、高熱とともに体幹部を中心に赤い発疹が現れます。特徴的なのは、ダニの「刺し口」が見つかることで、これが診断の重要な手がかりとなります。これらの感染症は、山林や草むら、畑仕事など、自然環境での活動後に発症することが多いです。もし、そのような活動歴の後に原因不明の発熱と発疹が出た場合は、必ずそのことを医師に伝える必要があります。これらの細菌感染症は、時に重篤な経過をたどることもあります。ウイルス感染と決めつけず、細菌感染の可能性も視野に入れて医療機関を受診することが大切です。

  • 手足口病に何度もかかるのはなぜ?免疫の仕組みを解説

    医療

    夏になると子どもの間で流行する手足口病。一度かかったからもう安心、と思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。しかし、手足口病は一度感染しても、再びかかる可能性がある病気です。その理由は、手足口病の免疫システムが持つ特有の性質にあります。この病気を引き起こす原因ウイルスは一つではなく、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスといった複数の種類が存在しているのです。例えば、ある年にコクサッキーウイルスA6型に感染して手足口病を発症した場合、そのウイルスに対する免疫は獲得できます。しかし、その免疫はA6型に対してのみ有効であり、翌年に別の型であるエンテロウイルス71型が流行すれば、そのウイルスに対しては免疫がないため、再び手足口病にかかってしまう可能性があるのです。これが、手足口病が繰り返し感染する最大の理由です。獲得した免疫は、原因となった特定のウイルスに対しては比較的長く持続すると考えられていますが、全ての型のウイルスをカバーする万能な免疫というわけではありません。そのため、毎年のように流行の主流となるウイルスの型が異なると、過去に感染歴があっても防御できないという事態が起こります。子どもたちが集団生活を送る保育園や幼稚園で毎夏のように流行が繰り返されるのも、このウイルスの多様性が背景にあります。手足口病の免疫について正しく理解することは、適切な予防策を講じ、子どもの健康を守る上で非常に重要です。一度かかったからと油断せず、流行シーズンには手洗いやうがいなどの基本的な感染対策を徹底することが、家族全員をウイルスから守るための鍵となります。